ドイツ南方軍集団はドニエプル川沿いに構築された防御線への後退を開始していたのが1944年1月のこと。対するに、約100kmに渡って構築されたソ連軍の進出線はチェルカッシー西、コルスン付近で突出部を形成し、前年のスターリングラードにおける包囲戦と同様にドイツ軍を包囲殲滅するチャンスが到来していた。
包囲を恐れたマンシュタインは部隊を撤退させることをヒトラーに進言したものの拒絶され「逃げ出すことができない戦い」へ向かうことになる。包囲の網を着実に形成するソ連軍に対して、ドイツ軍はどのように対抗すべきなのだろうか?
【付録ゲーム】
『ESCAPE TO NOWHERE(エスケープ・トゥ・ノーウェア): Army Group South, Dec. 1943 - Apr. 1944』
(ゲームデザイン:タイ・ボンバ)
『Escape to Nowhere』は第二次世界大戦における1943年12月24日から1944年4月30日まで続いたソ連軍冬季攻勢を題材にした、戦略レベルの対戦型ウォーゲームです。プレイヤーの立場は最高司令官の視点に立つことを目指して作られています。圧倒的な数と戦力を誇るソ連軍に対して、ドイツ軍は整然とした撤退戦を要求されます。無計画に部隊を失ったり無秩序な退却は即ち敗北を意味するのです。
ソ連軍は攻撃の手を緩めず、スターリングラードの第6軍と同じようにドイツ軍を包囲して組織的な抵抗力を完膚なきまでに削ぎ落とすことを目指します。対するドイツ軍は少ない戦力ながらもソ連軍の隙きを突き反撃を試みながら撤退戦を完遂せねばなりません。
本作は本誌143号の『第6軍を救出せよ!』の姉妹作に当たり、簡単なルールで第二次世界対戦の東部戦線における戦いを簡潔に再現している良作です。複数のステップを1つの部隊に与えるため予備カウンターを採用しているので、カウンター数の割に盤面で使用するユニットは少ないプレイアブルなウォーゲームと言えます。
ゲームスケール
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1ヘクス=約26km
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1ユニット=軍、軍団
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プレイヤー数=2人
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プレイ時間=180分程度
内容物(雑誌除く、付録分)
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駒216個1枚(15mm角)
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マップ1枚(A1判1枚)
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ルールブック1冊(12頁)
ゲーム情報
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ルール難度:低い
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ソリテア性:非常に高い
CONTENTS
本誌68ページ(フルカラー)
■特集
- ●逃げ場なき戦い(タイ・ボンバ)
- ●包囲された男たち──コルスン包囲陣ドイツ軍指揮官列伝(大木毅)
- ●デベロッパーはどこにも逃げ出せない(じんぼただとし)
■NEXT ISSUE
- 次号予告 第6艦隊
■READ & PLAY
- ●異端の鮫(山内克介)
- ●店長の決断
- ●地中海東風戦(岩永秀明)
- ●"赤"く美しきドナウ。(倉元栄一)
- ●Dawn's Early Light(諸岡幸治)
■SCENARIO
■WAR HISTORIES
■COLUMNS
- ●ゲームから本へ、本からゲームへ(桂令夫)
- ●復活! 男泣き戦争映画塾(山内克介)
- ●ユニットよもやま物語(生駒望人)
- ●ウォーゲーム・メカニクス(堀場亙)
- ●野獣げぇまぁ拡大版(徳岡正肇)
- ●あなたの知らない(かもしれない)戦争マンガの世界(生江秀一)
- ●ガチャを回すな! ゲームを買え!(徳岡正肇)
- ●新兵★通信
■NEW COMERS